ブリーディングの正しい意味をご存知でしょうか?
ブリーディングとは、犬種の向上と改良を目的とした繁殖方法のことです。
一般的には親犬となる犬同士の血統を確認し、適正や遺伝形質の有無、毛色などを確認したうえで交配されます。
ただ単に子孫を増やすという意味ではなく、ブリーディングには責任が伴うのです。
今回の記事では、正しいブリーディングの方法について詳しくご紹介していきます。
ブリーディングとは? 交配の種類と方法
ジャパンケネルクラブの定めるブリーディング
【正しいブリーディング方法】
ジャパンケネルクラブでは、次のようにブリーディングについて定めています。
- 犬種のスタンダードについて、良く理解し把握しておくこと。
- 血統内容及び犬種のタイプ、性格を理解すること。
- 交配の良否、犬種の有する遺伝性疾患について究明し、発症を防ぐために無計画な交配はしないこと。
- 牝犬の生殖生理を十分に知っておくこと。
- 出産後、子犬の管理を十分に行い、譲渡前に駆虫、骨学的遺伝疾患の有無のチェックをすること。
- 奇形や欠点を有した子犬は、他の者に対し絶対に提供しないこと。
- 生まれた子犬の血統登録をすみやかに行なうこと。
※上記JKCホームページより抜粋
https://www.jkc.or.jp/certificates_and_breeding/guidelines/knowledge
ブリーダーによる交配
優良なドッグブリーダーは、上記のジャパンケネルクラブ規定のブリーディングの考えに基づき、厳密な管理の元繁殖を行っています。
犬種の持つ質の向上、体質の改善・改良を目的としており、より健康なわんちゃんを育てていく目的が第一に掲げられています。
ラブラドゥードルの記事でも語られていますが、みだりに新犬種の交配に挑戦したり、それにより利益を得ようといった考えのもとでの交配は、推奨されていません。
遺伝の優劣について
では次に、ブリーディングの目的である犬質の向上についてです。
人間も同じですが、子犬は母犬・父犬の長所や短所を受け継いで生まれてきます。
ブリーディングの目的は、前述したとおり犬種の向上と改良です。
そのため、母犬・父犬の遺伝の優劣をよく考えて、母犬と父犬の組み合わせを決定する必要があります。
例えば、毛色の固定化や足元の不安の改善など、父母だけではなく祖父母の代まで遡って考える必要があります。
これは、祖父母の代の性質が、隔世遺伝によって子犬に受け継がれる可能性がある為です。
突発的に両親と子犬の毛色が大きく変わってしまった場合なども、祖父母の形質の覚醒遺伝の影響を受けている可能性が考えられます。
ブリーディングの方法
ブリーディングは母犬となるメス犬を基準に行われます。
メス犬の血統を考えメス犬の長所を生かし、オス犬は、メス犬の短所を補うことのできる犬が、交配相手として選ばれます。
もし、オス犬がメス犬の短所を補えるとしても、他にメス犬と同一短所を持つオスとの交配は避けます。
何故なら、短所が色濃く反映されてしまう可能性が出るからです。
病気や骨の不安などは一番に考えられるべき改善の内容になります。
ブリーディングの種類
ブリーディングの種類は、大きくわけて3種類あります。
それぞれの特徴について詳しくみていきましょう。
イン・ブリーディング(近親繁殖)
血縁関係がとても近い犬同士で繁殖する方法を【イン・ブリーディング(近親繁殖)】と言います。
両方の親犬の持つ遺伝子がかなり似ていることから、長所も短所も強調された子犬を作ることが出来ます。
元々優れた遺伝子を持つ犬同士のブリーディングを推奨する方法になりますが、両親犬よりも優れた犬が生まれる可能性が高くなっています。
しかし、強い欠点同士も強調体調になってしまう為、欠点が大きくなってしまう個体が現れることもあります。
また、近親繁殖を繰り返すことによって、骨格や身体が小さくなったり、遺伝性疾患、欠歯、内臓疾患、陰睾丸等が発生する場合があります。
これは遺伝的に避けようの無いことで、人間などでも近親交配は避けるべきと言われています。
イン・ブリーディングは 親子、兄妹、姉弟、従兄妹、従姉弟、叔姪の関係にあたるものと言われています。
親子・兄弟間(極近親)による繁殖は、基本的に認められていません。
ライン・ブリーディング(系統繁殖)
ライン・ブリーディングは、イン・ブリーディングよりも薄い血縁関係の犬同士で繁殖する方法です。
近親繁殖を避けますが、共通の血筋からなる犬同士を交配させます。
イン・ブリーディングによる弊害を最小限に抑えるため、ライン・ブリーディングは最も多い繁殖方法です。
犬の場合は異父・異母兄弟も多数いる為厳密な線引きが難しいですが、基本的にはイン・ブリーディングよりも離れている場合を指して言われることが多いです。
アウト・ブリーディング(遠親繁殖)
父犬と母犬のそれぞれの5代祖までに、血縁関係のない犬同士で交配するの繁殖です。
イン・ブリーディングによる血統に別の優秀な血統を入れることによって、弊害をなくしていくための繁殖方法です。
アウト・ブリーディングを行った後は、新しくできた優秀な系統を継続していく必要があります。
そのために、イン・ブリーディングやライン・ブリーディングを繰り返すことによって、少しずつ理想のタイプに改良していきます。
また、両親犬が完全に近親繁殖をしていない同士の交配を、アウト・クロス・ブリーディングと呼ぶ場合があります。
より良い個体を目指して
ブリーディングは、よりよい個体を固定化し、犬質の向上をするために行われる行為です。
毛色・毛並み・性格・健康・大きさ・顔など、多種多様な項目にわたり良質な犬質を目指しているブリーディング。
飼いやすいわんちゃんは確かにありがたいかもしれません。
しかし、同時に人間の都合によって成り立っているということも忘れないでください。
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